電子書籍には値引きの機会があります。ただし「安くなるまで待つ」が常に正解とは限りません。何を基準に判断するかを整理します。
- 値引きにはいくつか種類がある
- 待つことにも費用がある
- 待つべき場合と、待つべきでない場合
- 読み放題との使い分け
- 使いきれずに終わる形
値引きにはいくつか種類がある
まとめて「セール」と呼ばれますが、仕組みが違います。
| 種類 | 仕組み | 性質 |
|---|---|---|
| 作品・レーベル単位の値引き | 対象の作品が期間限定で安くなる。 | いつ来るかは事前に分からない。対象も毎回変わる。 |
| クーポン | 購入時に割り引かれる。使用に条件が付くことが多い。 | 有効期限がある。対象外の作品があることも。 |
| ポイント還元 | 支払った額の一部が次回以降に使える形で戻る。 | その場では安くならない。次に買う前提がないと意味がない。 |
| まとめ買いの割引 | 複数巻を一度に買うと安くなる。 | 最後まで読むと決めている場合に有効。 |
ポイント還元は、その場では出費が減りません。「実質◯円」という表現は、次も同じ店で買うことを前提にしています。次に買う予定がないなら、その分は戻ってこないのと同じです。
待つことにも費用がある
値引きを待つという判断には、見えにくい費用が三つあります。
1. 読めない期間
いちばん大きい費用です。読みたいと思った時点で読めていれば得られたはずの時間を、失っています。数百円の値引きのために数か月待つのは、割に合わないことが多いです。
2. 忘れる
待っているうちに、そもそも読みたかったことを忘れます。結果として、読まないまま終わります。これは値引きを取ったのではなく、機会を失っただけです。
3. 配信が終わる
頻繁ではありませんが、配信自体が終了することがあります。待っている間にこれが起きると、買えなくなります。
待つべき場合と、待つべきでない場合
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| いま読みたい | 買う | 待つ費用(読めない時間)が値引き額を上回る。 |
| 気になっている程度 | 待ってよい | 読めない期間の損失が小さい。忘れたら、それは元々そこまでではなかったということ。 |
| 長いシリーズをまとめて買う | 待つ価値がある | 冊数が多いほど値引きの総額が大きくなる。 |
| 1冊だけ買う | 待つ価値は小さい | 値引き額が小さく、待つ費用のほうが大きくなりやすい。 |
| 読み放題の対象になっている | まず読む | 値引きを待つ必要がない。読んでから、残すかどうかを決めればよい。 |
長いシリーズは待つ意味がある
1冊の値引き額は小さくても、20巻あれば20倍になります。まとめて買う予定があるシリーズは、待つ価値がある数少ないケースです。
ただし、1巻だけ買って合うかどうかを確かめてから、残りをまとめて買うほうが安全です。全巻まとめて買って合わなかった場合、値引きを取っても損失のほうが大きくなります。
読み放題との使い分け
ここがいちばん実用的な話です。
読み放題の対象になっている作品については、セールを待つ理由がありません。月額の範囲内で読めるからです。
1. 読みたい作品が、読み放題の対象かを確認する。
2. 対象なら、読み放題で読む。値引きは関係ない。
3. 読んで、手元に残したいと思ったら、そこで初めて購入を検討する。
4. 残したい作品については、急がないので値引きを待ってもよい。既に読み終えているので、待つ費用が発生しない。
この順番だと、待つことの最大の費用である「読めない期間」が消えます。読み放題に入っている場合、値引きの扱いはこの形に落ち着きます。
対象外の作品の場合
読み放題の対象外なら、上の判断表に戻ります。いま読みたいなら買う、気になっている程度なら待つ。単純です。
使いきれずに終わる形
値引きを追いかけると、次のことが起きやすくなります。
安いから買う、という買い方になる
読みたいから買うのではなく、安いから買う。この買い方をすると、買ったまま読まない作品が溜まります。
読まない本を1冊買うより、読む本を定価で1冊買うほうが、支出としては有効です。値引き率ではなく、読むかどうかで判断してください。
クーポンの期限に追われる
期限のあるクーポンを持っていると、期限内に使わなければという圧力が生まれます。この圧力で買った作品は、読みたかったものとは限りません。
値引きの有無にかかわらず、それを読むかどうかで決めてください。読むものを安く買えたなら得ですが、読まないものを安く買っても損です。
まとめ
1. 読み放題の対象か確認する。対象なら、そこで読む。
2. 対象外で、いま読みたいなら買う。値引きは待たない。
3. 気になっている程度なら、リストに入れて待つ。
4. 長いシリーズをまとめて買う予定なら、1巻を先に読んでから、残りは待ってもよい。
5. ポイント還元は、次に買う予定がある場合だけ価値がある。
値引きを前提にした買い方の落とし穴
値引きを追いかける買い方が定着すると、次のような状態になりがちです。
| 状態 | 何が起きているか |
|---|---|
| 買った本が溜まる | 読む速度より買う速度が速い。安さが購入の理由になっている。 |
| 定価で買えなくなる | 値引きを待つことが習慣になり、読みたいときに読まなくなる。 |
| 何を持っているか分からない | まとめて買った結果、購入済みの一覧を把握できていない。 |
| 同じ本を二度買う | 三つ目の結果として起きる。電子では気づきにくい。 |
四つ目は実際に起こります。多くのサービスでは購入済みの作品を再度買おうとすると警告が出ますが、分冊版と単行本版のように別の商品として扱われている場合は、警告が出ないことがあります。
買ったまま読まない状態への対処
溜まってしまった場合の対処は単純です。買うのをやめて、読む。これしかありません。
そのうえで、次に買うときの基準を一つに絞ると再発しにくくなります。「いま読むものだけ買う」という基準です。この基準なら、値引きがあってもなくても判断が変わりません。
読み放題を使っている場合は、この問題が起きにくくなります。読みたいと思ったときに読み、合わなければやめる。買うという行為が介在しないため、溜まるということ自体が発生しません。これは読み放題の利点の一つです。
この記事のまとめ
値引きを待つことには、読めない期間・忘れること・配信終了という三つの費用があります。いま読みたいなら買い、気になっている程度なら待つ。長いシリーズをまとめて買うときだけ、待つ価値が大きくなります。読み放題の対象になっている作品については、値引きを待つ理由そのものがありません。判断の基準は値引き率ではなく、それを読むかどうかの一点です。
値引きを気にしないという選択
ここまで値引きの扱い方を書いてきましたが、そもそも気にしないという選択もあります。読みたいときに定価で買う。この方針の利点は、判断に時間を使わなくて済むことです。数百円の差のために毎回考えるより、その時間を読むことに使うほうが、得られるものは多いかもしれません。値引きを追うかどうかも、好みの問題です。
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