電子書籍を買うときに、いちばん引っかかるのがここです。「買ったのに手元にない」という感覚は、紙に慣れているほど強くなります。実際にどうなっているのかを整理します。
- 何を買っているのか
- 本体はどこにあるのか
- 端末を変えたときにすること
- 複数の端末で読めるか
- サービスが終わったらどうなるか
- それでも電子を選ぶ理由
何を買っているのか
電子書籍を買うとき、多くの場合、買っているのはデータそのものではなく、閲覧する権利です。
紙の本を買うと、その本という物が自分のものになります。売ることも、貸すことも、燃やすこともできる。電子書籍では、これができません。買った本を他人に譲ることも、中古として売ることもできない。
ここを理解しておくと、あとの話が全部つながります。電子書籍における「所有」は、紙とは別のものだということです。
ここで説明しているのは「購入した本」の話です。月額の読み放題で読んでいる本は、購入していないので、契約が終われば読めなくなります。この二つは別のものとして考えてください。
本体はどこにあるのか
買った本は、アカウントに紐付いています。端末の中ではありません。
この仕組みには、実用的な意味があります。端末が壊れても、なくしても、買った本は消えません。アカウントにログインし直せば、また読めます。紙の本を紛失したら戻ってこないのと比べると、この点は電子の利点です。
ダウンロードと閲覧の違い
多くのサービスでは、読むときに二つの方法があります。
| 方法 | 仕組み | 向いている場面 |
|---|---|---|
| ブラウザで読む | その都度、通信して表示する。端末に残らない。 | 共用の端末。一時的に読みたいとき。 |
| アプリにダウンロードして読む | 端末に一時的に保存する。通信なしで読める。 | 移動中。通信量を抑えたいとき。 |
ダウンロードした場合でも、そのデータは通常の意味でのファイルとして取り出せるものではありません。アプリの中でのみ機能する形で保存されています。したがって、ダウンロードしたから安心、という話にはなりません。本体はあくまでアカウント側にあります。
端末を変えたときにすること
1. 新しい端末にアプリを入れる(またはブラウザで開く)。
2. 元のアカウントでログインする。
3. 購入済みの本の一覧を開く。買った本が並んでいます。
4. 読みたい本を選ぶ。必要ならダウンロードし直します。
やることはこれだけです。ただし、元のアカウントでログインできることが絶対の条件になります。ここが今回のいちばんの要点です。
だからログイン情報の管理が要になる
アカウントにログインできなくなると、買った本にたどり着けません。端末が変わったときに問題になるのは、たいていここです。
・登録したメールアドレスが、いま使えるものか。使っていないアドレスで登録していると、パスワードの再設定ができなくなります。
・パスワードを記録しているか。ブラウザに保存しているだけだと、端末を変えたときに消えます。
・電話番号や二段階認証を設定している場合、その連絡先が現在も有効か。
・SNSアカウントなど外部サービスで登録している場合、そちらのアカウントが今後も使えるか。
これらは、端末を買い替える前に確認しておくべきことです。買い替えた後で気づくと、対応が難しくなります。
複数の端末で読めるか
多くのサービスでは、同じアカウントで複数の端末から読めます。スマートフォンとパソコンと、タブレット。それぞれで同じ本が開けます。
ただし、同時に使える端末の数に上限が設けられている場合があります。また、閲覧の履歴(どこまで読んだか)が端末間で同期されるかどうかも、サービスによって違います。
複数の端末で読む予定がある場合は、この点を事前に確認しておくとよいです。
サービスが終わったらどうなるか
不安に思う人が多い点なので、正直に書きます。
サービスが終了した場合、購入した本が読めなくなる可能性はあります。閲覧の権利は、そのサービスが存在していることを前提にしているためです。
実際に、過去に電子書籍サービスが終了した例はあります。その際の対応はサービスによって異なり、他のサービスへ引き継がれる場合も、返金される場合も、そうでない場合もあります。
この点をどう考えるか
これは電子書籍の構造的な性質であって、特定のサービスの問題ではありません。したがって、次のように考えるのが現実的です。
- 長く続いている、規模の大きいサービスを選ぶ
- 本当に失いたくない作品は、紙でも持っておく
- 電子は「読むための手段」と割り切る
三つ目が、多くの人が実際に取っている態度だと思います。読みやすさと保管のしやすさを取って、永続性はある程度諦める。この割り切りができるかどうかが、電子を選ぶかどうかの分かれ目です。
それでも電子を選ぶ理由
成年コミックに限って言えば、電子を選ぶ理由ははっきりしています。
1. 保管の問題がない
紙で買うと、置き場所が要ります。成年コミックの場合、置き場所の問題は単なるスペースの話ではありません。人に見られない場所に置く必要があるという事情が加わります。電子であれば、この問題自体が発生しません。
2. 買う場面が人目につかない
店頭で買う必要がありません。この点を理由に電子を選ぶ人は多いはずです。
3. 品切れがない
紙の本は、絶版になると手に入りません。電子であれば、配信が続いている限り買えます。
4. 読み放題という選択肢がある
紙にはない仕組みです。まとめて読む読み方をするなら、電子でしか成立しません。
アカウントを分けるという考え方
成年コミックを電子で買う場合、アカウントの扱いについて考えておくことがあります。
同じサービスで一般書も買っている場合、購入履歴が一つのアカウントに混ざります。画面を人に見せる機会がある場合、これが問題になることがあります。
サービスによっては、成人向けの表示を切り替える機能や、履歴を非表示にする機能が用意されています。まずはその機能があるかを確認するのが先で、機能で対応できない場合に、アカウントを分けるという選択肢が出てきます。
アカウントを分けると、買った本も分かれます。どちらで買ったか分からなくなると、探すのに手間がかかります。分ける場合は、どちらで何を買うかの基準を最初に決めておいてください。
また、サービスによっては複数アカウントの作成が規約で制限されていることがあります。事前に規約を確認してください。
読んだ位置の記録について
多くのサービスでは、どこまで読んだかが記録され、次に開いたときにその位置から再開できます。便利な機能ですが、これもアカウントに残る情報です。
共用の端末で使う場合、この記録が見えることがあります。使い終わったらログアウトする、という基本的な対応で防げますが、機能があること自体は知っておいたほうがよい部分です。
この記事のまとめ
電子書籍で買っているのはデータではなく閲覧の権利で、本はアカウントに紐付いて保管されています。端末を変えても、同じアカウントにログインできれば読めます。逆に言えば、ログインできなくなると本にたどり着けません。登録したメールアドレスとパスワードは、端末を買い替える前に確認しておいてください。
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